ギターエフェクター用のエクスプレッションスイッチを作った

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ギター用のエクスプレッションスイッチを作った

 

 どうもtriwaveというものです。普段はtwitterやqiitaで機械学習や統計に関することを呟いています。現在はソフトウェアエンジニアに分類されると思うのですが、前職ではセンサ開発などハードウェア周りの研究開発もやっていました。

 

 趣味で音楽を聞きますし、楽器を演奏することもあります。楽器、主にギター周りの電子、電気工作もボチボチやっています。はてブはポエム的要素が強いので、自分が過去に作ったものを(成仏させる意味で)紹介していこうと思います。

 

 今回は、エクスプレッションペダルの固定版(フットスイッチで二つの音量を切り替える)の工作記です。初回からめちゃくちゃ地味です。

 

 

エクスプレッションペダルとは?

 このページを読もうと思って読み進めてる人には必要がないかもしれませんが、一通り説明します。ギターを引いているときにボリュームを調整したいことがあります。例えば、静かなパートでボリュームを絞りたい場合、またソロの時にボリュームを上げたい場合。

 

 こんなときに足にあるペダルを踏み込むことで(その踏み込み量で)音量を変えることができます。ペダルの形式にはざっくり分けて2種類あって、

  • ボリュームペダル
  • エクスプレッションペダル

の2種類です。

 

 

ボリュームペダルは、ギター→エフェクター→アンプの間に直列に繋いで、オーディオ信号そのものをペダルによって直接増幅・減衰させます。

 

 

 

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ボリュームペダル(BOSS製)

 

ボリュームペダルは直列につなげて、シンプルな構成になりますが、ペダルそのものオーディオ信号が通過することで音質が変わるというデメリットがあります。

 

対して、エクスプレッションペダルとは、エフェクターなどギター信号を加工する機器につないで、その機器のパラメータを変更させる(その一例が音量)ものです。エクスプレッションペダルにはオーディオ信号が通らないところがポイントです。エクスプレッションペダル単体ではボリューム(パラメータ)を調整できません。

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エクスプレッションスイッチ

 今回作ったものはエクスプレッションスイッチとでも呼ぶものです。ペダルで音量を調整していたときもありましたが、

  • 上述の音質変化
  • 重くてかさばる(ペダルなので頑丈な筐体のものが多い)
  • 踏み幅が大きいと、狙った音量にするのがむしろ難しい

の不満がありました。結局、私の場合音量大と音量小の2段階くらいの調整で大体済むことが多いです。

そこで、フットスイッチを使って

  • スイッチOFF(音量100%MAX)
  • スイッチON(音量0-100% ツマミで可変)

にしておいて、ONの時の音量をあらかじめ決めておき、スイッチのオンオフをする方が再現性良く演奏できます。

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中央がスイッチON時の音量調節ツマミ、下がオンオフ用のフットスイッチ

これだと、小さく(大体フリスクくらいの底面積)作れるので持ち運びがラクです。また、(当時)外部パラメータ調整のできるデジタルエフェクターを使っていたので、ボリュームペダルではなく、エクスプレッションペダル(のスイッチ版)を作ることにしました。

回路

 エクスプレッションペダル(スイッチ)の回路はとてもシンプルで、本体側になんらかの形で音量に相当する信号を伝えてあげるだけです。方法としては

  • 電圧を伝える(例:0V(min)-5V (max)として電圧で伝える。分圧回路を使う)
  • 抵抗値を伝える(使用する抵抗値の上限は本体側で決まる)

手持ちのデジタルエフェクターの方式に合わせ、今回は下の方式のものを作りました。

調べると抵抗値のMAXは50kΩとのことだったので、その値を用いました。

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配線図(ハンダはご愛嬌。。)

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実体配線図


 回路は本当にシンプルで、3P3Tスイッチ(LEDをつけなければDPDTでも良い)を使って、スイッチオフのときは47kΩの固定抵抗を通るように、スイッチオンのときは50kΩ maxの可変抵抗を通るようにするだけです。音量変えるときはBカーブでなくAカーブを使った方が良いかも。。もう一組みのスイッチ端子にはLEDをつけてどちらの状態かをわかるようにしています。この配線図の場合、音量可変時にライトが点くようにしています。

 LEDの電源ですが、コンパクトにしたかったため外部電源を供給するようにしていますが、ボタン電池などで内臓しても良いでしょう。もちろん電源はLEDのためだけに必要なので、ボリューム調整自体はパッシブで(電源なしで動作します)

 

一応なんちゃって回路図も乗っけておきます。

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回路図

 

 主にエレアコの音量調整用に使っていました。音量増幅用のブースター(良いものは大体1万円くらいで高価だし、直列に繋ぐのでアコギの場合は音質変化が気になる)を買わなくても、コンパクトに音量のプリセット切り替えを実現できました。

 使用法としては、コードで引く場合スイッチONでボリューム70%、単音で弾く時にはスイッチOFFでボリューム100%というような使い方です。(オンとオフが感覚的に逆に感じるかもしれませんが、どっちがオンでオフかは相対的なものなので気にしないでください。)

 本機はエクスプレッション端子のあるエフェクターに用途が限られます。まぁだから正直そんなに使わなかったですね。なんとなく作ってみたくなったので作ったのが正しいかも。ただ、MIDIのコントロールチェンジ(CC)などにも使えるので手元に置いています。もちろん、ギターエフェクターで音量以外のパラメータにも使えます(本体が対応していれば)

 

 楽器の音質に直接影響を及ぼすものに関しては、多少筐体が大きかったりしても無理して使います。逆に、今回のようなあくまで外部機器のパラメータ調整のための機器って、なかなかその人の好みに合わせることは難しいと思います。人によって欲しいサイズとか、機能とかって違うと思うので。そういう個々人の痒いところに手が届くものは自分で作ったりします。